あれは19の夏

MVとDUCA

 

シルバーのベベル900SSは朝もやのビーナスラインを、Vツインの爆音をとどろかせながら走り去っていった。

それは僕の記憶の中の、最も美しい絵画である。

あれは19歳の夏、美ヶ原まで一泊でツーリングにでかけた時のこと。白樺湖畔でキャンプした翌朝、早起きして、夜明けのビーナスラインを走りにでかけた。

霧ヶ峰あたりを何度かローリングした後、車山を見上げる駐車場で、タバコをくわえながら一息ついていると、朝靄の中から例のVツインの排気音が幽かに轟いて来た。

排気音は、「それ」が近づくにつれ、次第次第に、轟きを増した。そしてついに、美しいリーンウイズで深くバンクしたシルバーの900SSが、コーナーの向こう側から立ちいでた。

DUCAを駆っていたのは、黒いレザースーツを身にまとった、壮年らしきライダーだった。彼は僕の前を通りすぎる瞬間、こちらを向いて小さく会釈した。僕は右手を挙げてそれに応えた。

シルバーの900SSは、短いストレートをシフトアップしながら走り抜け、赤いブレーキランプの瞬きを残して、また朝靄の中へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DUCATI 900SS

 

かつて朝もやの霧ヶ峰で見かけた900SSが忘れられずに手にいれた。

このDUCA はおよそ一昔前に、かの有名なバイク量販店で購入したもの。
キャブのセッティングがもうひとつで、パスリと止まったり、ややオイル下がりを起こしたり。
中古保証があったので、購入店に預けたものの、一向に作業は進まず。
眠り続けること数年、ついにはフロートチャンバーまでなくされた。
仕方なく自分で手をいれようと、引き上げてきて、そのまま手つかず約10年。
昨年MVに手を付けた時に、一緒にOHしちゃおうと思いたったものの、なんとなく面倒くさくて、そのままにしていた。

2012年11月、ふと思いたって、レストア着手。取り敢えずメモの代用として、自分に必要な情報のみ記載しておき、後日WEBページとして整理するつもり。

900SS

〜パーツの手配に関して〜

入手可能なリプロパーツのほとんどは、OLD RACING SPARE PARTS製で、あとはそれを何処経由で入手するかという問題だけだと考えてよい。
 http://www.oldracingspareparts.com/

日本にも「OLD RACING SPARE PARTS」の代理店があり、一度メールフォームから問い合わせを掛けたが、返信なしだったので、以後相手にせず、海外から直接調達することにした。コルサさんとかも、いまや 売れ筋商品しかストックしてないみたいであまり役に立たない。NOSは英国とかカナダ、米国あたりのサイトで見つかることが多い。

情報サイトとして役立ちそうなとこ


マニュアル・レストア・パーツ情報
http://www.ducatimeccanica.com/
レストア
http://www.ducatimeccanica.com/roundcase_rebuild/index.html

ベベルヘブン
http://www.bevelheaven.com/index.html
オーストラリア
http://docsa.com.au
日本語サイト
http://www.bevel-enthusiasm.com/

以下は自分がパーツ調達に用いたサイト

パーツ
ベベルヘブン
https://store.bevelheaven.com/index.php?p=home

ハブダンパーなど
http://ducaticlassics.com/

PHM新品など
http://www.oldracingspareparts.com/

電装パーツ、リプロフォークなど
http://www.mdinaitalia.co.uk

VHB・PHBキャブ用インシュレーターなど
http://www.guzzino.com/

ドイツ
http://kaemna.de/ (アルミタンク)

http://www.desmo.co.za/

http://www.angelfire.com/biz/laverda/itcatalog/mainframe.htm

http://www.classicducati.com/

http://www.classicitalianbikes.com/

カナダ(NOS)

http://www.loudbikestore.com/

リプロダクトFフォーク各社(日本国内代理店あり:以下に日本国内サイト)
http://www.tnk.it/

 

日本国内
ブリッツ(サイドスタンドなど)
http://shop.britz-motors.com/
ORSP国内代理店
http://www.collezione-giappone.com/

デロルトジェット在庫
http://www.garuda.ws/motorcycle.html
イモト商会
http://www.ducati-msimoto.com/toppage.html
リプロFフォーク各車
http://www.innertube.jp/
ウオタニ
http://www.asuotani.com/

 

 

 

レストア開始


レストア中

*ステップマウント(左)は曲がって溶接されていたので、切り落として再溶接した。

 

レストア中

*車体番号DM860SS 0905??で1980年モデル。
車両番号と年式一覧(他所から引用)

**********電装********

レギュレーター

ワイヤーハーネス

Wiring Loom

キルスイッチ

*Wiring Diagram(900SS 1978 - 900MHR 1982)
*同上 線色・装置等
*OLD RACING SPARE PARTS配線図
*同上 線色等
*Ducati EnergiaのRegulator配線例
*ESR510(在庫レギュレーター)配線例

*カプラー類入手先:MDINA ITARIA
*Wiring Loom;OLD RACING SPARE PARTS製(配線容量が小さい)

*Ducati EnergiaのOriginal Voltage Regulatorの配線(PDF例あり)
1,2(Y): Generater
3,4(R):一つに結線してヒューズボックスでバッテリーからの+12Vに接続
5(W):Gランプ用ー>P/BLKへ接続。P/BLKはここからG indicatorまでだけの結線で他に分岐しない。G indicatorの他極にはオレンジ線(IGN+12ー>オレンジ/白ー>FUSEー>オレンジ)が入りこの二極の電圧差で点灯する。マニュアルの配線図もOLD RACING SPARE PARTSの配線図も間違っている。
6(BLK):レギューレートのための電圧のセンシング用入力(*色からGNDと混同しない。GNDは本体ねじ穴にGND表示あり。本体から直接落ちている。)マニュアル上は茶線で表示されていて、白/オレンジにFUSEボックスで結線され、IGN+12Vラインの電圧を拾う。

*ホーンの配線図はOLD RACINGのものが正しく、マニュアルのものは間違っている。緑はGND側で、紫が+12V。ホーンボタンを押すと緑がGNDに落ちる。オリジナルのハーネスでは、紫はFUSEボックスの出力側に青/黒と一緒に結線される。

*3極カプラーはマニュアル配線図のキルスイッチ用のカプラーだが、ここはカプラー部でオレンジと白/オレンジがジャンピングされる。このオレンジはここからBOSCHユニットまでを繋ぐだけのオレンジで、他のハーネス中のオレンジ線とは直接には結線されていない。

*+12Vの経路:バッテリー ー赤ー FUSE ー赤(常時電源) ー IGN SW ー 茶(マニュアル上は灰/黒) ー カプラ ー オレンジ/白(キルスイッチへもオレンジ/白が分岐) ー FUSE ー 青/黒(フラッシャー・ストップランプ・ニュートラル系)とオレンジ(ヘッドライト・Gランプ系)

*オレンジ ー ライトSW ー Gr(灰:+12)ー ポジション/テール

*オレンジ ー ライトSWーHigh/Lowー 黄色(H)・白(L)

*IGN SW回りの配線 マニュアル上のGr/Blkが実際は茶、マニュアル上のY/Blkが実際は黄色単色。

*新ー旧ハーネス比較(新ー旧):桃/白ー赤/黒、 黄/緑ー黄、 灰(マニュアルでは灰/黒)ー灰 

*ステーター品番 075946409は 900/750SS 75以降共通。ローターとステーターとのセット品番は075946400。ORSPのセット品番はXX00214。

*0****409  -> 1X00060(OSRP)は750GT/S till 1974用で 3wires

 

オイルフィルター

オイルフィルター

*オイルフィルターはアダプターを介して、BMW R1200GS/RT/ST及びK1200(05-)用が使用できるように変更されている。DUCATI用は使用不可。

キャリパーOH

OHキット

ブリーダー

パッド

*F(L/R)及びリアブレーキキャリパーは、いわゆるF08キャリパー。新品入手の際は右用左用がFフォークに対して前付なのか後付なのかでLR用が入れ替わってしまうので注意(OHキットはBevel Heavenより)。ゴールドキャリパーはブリーダーボルトが5ミリ程長い。
*画像はF08用、OHキット(OH)、キャリパーのピストン(ピストン)の品番
*画像はGALFERのPADの品番(両端のクリアランスがきつく、サンダーで削る必要あり)。
*リアマスターシリンダーのマウントピッチは50ミリ(予備在庫あり)

 

 

フロントフォークOH

WORKS スプリング

*Fフォークインナーチューブ58ミリ径、長さ590mm。MDINA ITARIAより580mmと600mmを入手し600mmを使用。フォークキャップはマニュアルと異なり、エアキャップ付がオリジナル。
*Fフォークのストロークは130mm。 SAGは40mm程度に設定
*WORKSのスプリング(Bevel Heaven)に付属していたプリロード調節用のカラーは使用せず、オリジナルの上部カラー(短いもの)を使用した。

 

前後ホイールベアリングハブベアリングステムベアリング




*前後ホイールのベアリング(各2ヶ)は共通でSKF品番だと63004_2RS1_SKF。D=42,D=20,B=16mm。フロントアクスルシャフトはΦ=20mm。リアは特殊なカラーを噛ませているので、シャフト径は18mm。
*リヤハブ(ドリブンスプロケ受)のベアリングは、SKF 6204 2RSJEMでOD=47mm,Bore=20mm,Width=14mm。ホイール同様カラーを噛ませてBore=18mmとなる。
*ステムベアリングはSKF 639174で26x52x15mm。(d=26,D=52,B=15.73mm)。

キャブ

OHキット

ORSPキャブ


*スタンダードPHMキャブ:MJ/SJ=152/60、フロートニードルバルブは#300。