あああ、ああ

ジェット

春が来て、「車庫の中でホコリ塗れになってるオートバイたちに一通りの整備をしよう!」と思い立ったが運のツキ。次から次へと、結構シンドイ・・・。

このFZX750は四年前、札幌で譲り受けて、道南・東北・新潟と、ツーリングしながら乗って帰ってきたシロモノ。翌年T君の手に渡り、彼がコケて小破して、以来ウチの車庫に眠ってた。

転倒の後、中古パーツを使って外装は補修され、機関に異常はなかったので、乗る気になればいつでも乗れる状態にはなっていたのだが、その後結局ナンバーは切られ(登録抹消)、約三年間、エンジンに火を入れられることもなく眠り続けていた。

Z1からお下がりのYB14L-A2(バッテリー)を移植して、ガソリンを2リットルばかりタンクに入れて、イグニッション・オン。

アレ?・・・・フェールポンプが動いてないや。何回かキーのON-OFFを繰り返しているうちに、カチ・・・、カチカチ・・・、カカカ、カカカッとFPは心許なく動きだした。

しばらく放置されていたバイクで、まず問題になるのがキャブレター。今回も例にもれず、フロートが固着しているみたいで、FPが動いた途端、ガソリンが、ジャジャもれにオーバーフローして流れだしてきた。

まじめな人なら、ここですぐにキャブ清掃に入るのだが、「フロートチャンバーにガソリン入れとけば、そのうちフロートも動くようになるだろう」と、チャンバーのガソリン抜き穴のネジをゆるめて、そこからキャブクリーナーとCRC556を吹き込んで、更にガソリンを少々送り、放り出しておくこと一昼夜、再びイグニッション・オン!。

ダメだ。完璧にフロートが機能していない。FPが回った途端にオーバーフロー。「面倒くさいなあ」と思いつつキャブを分解清掃することにした。

エンジンからキャブを外した後、キャブを分解してゆくのだが、旧車の場合タチが悪いのが、ネジの固着。フロートチャンバーやら、ダイヤフラムキャップのネジは、インパクトドライバーでスパッと外さないと確実にナメる。

で、これらのネジを外そうとして「唖然!」。そのネジの半数ほどがナメかかってる!。前のオーナーが近場のバイク屋でOHしてもらったと言っていたが、そのときの整備士が、無理矢理コジッてナメかけたネジを、清掃後そのまま組み付けたのだろう。それも、不要なほどのトルクをかけて。

あのねえ・・・・、M5-15やらM6-10のネジなんて、常に在庫しておいて、こういうナメかけた柔らかい素材のネジは二度と使わないのが原則。でね、組む前にグリスつけて、最小限のトルクで締めるの。

結局、全部インパクトドライバーで注意深く打ち抜いて、それでも3本ほどは緩まず・・・。一本はタガネで無理矢理(−)ネジ切って外し、他の二本はエアツールの円盤状のヤスリでネジ山切り直して、何とか外した。

フロートチャンバー開けてみたら、真鍮製のニードルホルダーのネジまで過大なトルクで締めつけたようで、#4キャブのものが、指で摘んだ途端にもげて取れた(写真上)。

更には、キャブ清掃後にパイロットジェットを組みつける時、どうもやはり4番のジェットだけ、イヤーな感じでトルクがかからない。もう一度外してみると、やはりこのジェットも締め付け時にトルクをかけすぎたようで、ネジ山にクラックが入っていた(写真下)。

ジェット

最近のオートバイ整備士は、やる気がないのか、それとも満足に指導できる人間もいないのか、誰もがこんな仕事ばかりしていて、ウンザリさせられる。

僕が自分でオートバイをイジり始めたきっかけというのが、某量販店の工場長の無能さ加減に呆れ果てたこと(人柄は良く、半ば友人づきあいだったで、なかなか文句も言えなかった)。

まず、彼は、ネジというネジを締め忘れる。外装部品を脱着した際など、ネジの1-2本はついてないのが当然だった。

ついで何たることか、彼はカムスプロケのネジを締め忘れた。結果は当然バルブクラッシュ。

更に、その後の修理に際して、どうやら彼はバルブガイドを自分で打ち替えたらしい。完璧に作業をこなせば、内燃機屋なみ、敬服ものなのだが、彼の打ち替えたガイドは、案の定「脱落」した。当然ヘッドも、ピストンもオシャカ・・・。世の中の二級整備士・経験10年は、こんな奴ばかりなのだろうか。

オートバイは車と違って、身を守るヨロイがないので、こうした整備ミスは、大怪我や死に直結する。こういう「怖い経験」を繰り返すと、自分の乗るものを他人に任せられなくなってくる。

一昨年も、「まあタイヤ交換くらい」と思って同店に依頼すると、交換後、スピードメーターが動かない。別の整備士が、Fフォークのアクスルシャフトを締める時に、スピードセンサーのローターの爪を折るという、カケダシでもしないようなミスをしでかしてくれた。

彼等みたいな輩を避けて、カスタム屋やプロショップに駆け込むと、コイツらボるボるボりまくる。特定車種の必要最低限の仕事しかできないくせに、桁外れの整備料を請求してくる。

仕方なく家業を継いだだけの、頭もよく器量のいい、バイク屋兼自転車屋の兄ちゃん・オッチャンてのは、世知辛い今の時代にあっては、もはや絶滅危惧種。

で、大切なのはDIY。長距離ツーリング中何があっても、それに対応できるという安心感にもつながる。

以前インラインフォアのバイクで名神高速を走っていて、2,3番のコイルが飛んだ。大津でおりて、ガラクタバイクがいっぱいおいてあったH系ディーラーで「コイル飛んだからスクラップから分けてくれ」と頼んだら、店主のオッサンが出てきて「飛んだのは一次側か二次側か」とか、「イグナイターじゃないのか」とか、能書きばかりたれる。挙句のはて、「車種にあったコイルじゃないと使えないからダメだ」とぬかす。「この手のオッサンは、電気のことがわかるようなノウミソは持ち合わせていないので「インピーダンス差の許容範囲が云々・・」なんてお題は拝借できない。

「わからないけど、やってみていいですか?」と上手(じょうず)に下手(したて)にお願いして、事故車のゼファーからコイル外させてもらい、自分で組み替えた。4発きれいに火が入ったのをみて、「ホウ・・」とか言って、オッサン感嘆してた。

「おかげで助かりました」と言って財布を手にしたら、「8000円でいいわ」とヌカす。ガラクタコイル一個、しかもヒトに外させて8,000円だ!。「いや、ツリはいりません」と言って、10,000円渡して早々にオサラバしてきた。

どんなバイク屋でも、そこんちで売ってる中古車の清掃ぶりを見ると、店のだいたいの素性がわかる。きれいに見せて高く売るため、大概の店は、車両の外装にワックスかけてピカピカにしてる。ところが、サイドカバーの内側、バッテリー周り、エンジンとキャブの間などは、十中八九、手つかずで汚れたままになっている。中古車を買うときには、多少ケムったがられても、タンクを外してコイルやハーネスなどの電装まわりくらい覗いてみたい。このあたりが清掃されてないということは、まともな整備以前の問題として、機能部品の確認すらなされていないってことを意味する。

その店の素性・技量は、例えばタイヤ交換なんかの時に、普段は手の届かない場所(スイングアームの内側とか、ホイールのハブ周りなど)を簡単にでも清掃してくれるかどうかでも見極められる。

清掃こそ整備の原点。仕事に誇りを持っていた、かつてのバイク屋・自転車屋は、修理に出すたび車両をピカピカにして返してくれた。それすらまともにできない奴に、不具合なんて見つかる訳もないし、直せる訳がない。

 

 

 

FZX-750

 

このFZXは長年続いてきたDBRの北海道ツーリングを絶やさないための裏技として・・

2004年に札幌で譲り受けて、北海道、東北とツーリングしてきたもの。
その後、N君の手に渡り、彼が転倒して小破させた。

中古部品を使って完全に修復されてはいるのだが、ずっとウチの車庫に眠ってる。
FZR1000のEgでもつんじゃおうかなあ?

 

 

FZX-750

 

 

 

FZX750

 

 

FZX750

 

 

FZX750

 

 

FZX