レストア記(シャーシ)

Fフォーク

 XSシリーズは結構な台数が輸出されていて、国内でより、むしろ海外での人気の方が高かった。2009年現在、海外サイトを漁れば、エンジン・シャーシともに大抵のリプロパーツが手にはいる。一方、オリジナルパーツに関してはもうほとんど「出ない」と思った方がいい。そのオリジナルパーツも、国内の部販では調達不可能なものが、海外ではデッドストックとして出回っていたりする。

 日本にもXS系のレストアで有名なショップがいくつかはあるようだが、W系と違って国内でリプロパーツを作ったり、中古パーツを分け合うための情報網を作ったり、などという動きは見られない。職人気取りのメカニックに、整備の依頼ではなく「パーツだけ分けてくれ」などというのは論外だろう。

 もし「今、XS系がブーム」なんていうバカが居るとしたら、そんな奴は所詮インターネットの情報に踊っているだけのにわかオトキチで、そいつらに”クレージーズ”的な崇高さを期待する方が間違っている。今日、整備・レストアに際してリプロパーツを購入する時にも、このことだけはしっかり頭にたたきこんでおいた方が間違いがない。商売目的で販売されるリプロパーツの品質は全てオリジナル以下である。中国・台湾製の電装品なぞ、すぐパンクする。

 かつてXS系のパーツを求めるものが、まずその門を叩いたのは、HALCOなるイギリスのオートバイ屋さん。リプロ製品も精度が良く、オリジナルパーツに関しても新品・中古をストックしていて、”泣き言”を言うと、気前よく分けてくれた。10年ほど前、B/Oでオーダーしておいた1B用のインナーチューブがいつまでたっても届かないので連絡してみると廃業していた。どうやら店のご主人がお亡くなりになり、その志を次ごうという者が居なかったようだ。

 今回のレストアに際して、手に入らなくて困った唯一のパーツがこの1B用のインナーチューブとフォークスプリング(左右でレートの違うものが入っていた)。34mm径のものはいくらでもリプロが手に入るのだが、タマ数の少ないXS−1用は商売にならないらしくてリプロダクトされていない。

 現在XS系のリプロパーツ製作販売の中核となっているのは、MikesXS (http://www.mikesxs.net)なるアメリカのショップ。日本ではRabbit(R-projects)さんが代理店となっている。今回のレストアに際しても多くのパーツをこちらでお世話になった。

 ただ心しておくべき事は、いずれも単なるリプロパーツディーラーであり、整備業ではないという事である。その製品を用いた日々の整備を行っている訳ではないので、製品の品質や問題点は把握されていない。リプロパーツを使うに際しては、部品ひとつひとつの精度や強度を、自分の目で確認することを怠ってはならない。

 自分が使用したこれらパーツの中で特に問題があった物を列挙すると以下の通りである。上述のように、リプロはリプロと割り切っているタチなので、これら問題の品を返品したり、F/Bの報告をしたりということを自分はしない。

1)XS-2用のFフォークインナーチューブ:精度が甘いので、アウターチューブのホーニングが必要。

2)ストレーナーのオイルフィルター:OEMに比して強度不足でボルトにトルクを掛けると潰れてしまう。

3)シリンダーヘッドのオイルデリバリーライン用のバンジョーボルト:材質と加工精度の問題で、規定トルク以下でボルトが断裂。

4)ミッション用のベアリング:クリアランスが大きく、ドラッグ向けには良いが、長期使用には耐えないだろう。

5)鉄メッキのリム(ホイール):HALCOで入手したものや、国産に比して歪みが大きく、スポークの張り調節では横ブレが取りきれない。

以下メモ

調色済塗料:浜松第一塗装(有
http://www.bike-paint.com

インナーチューブ再メッキ:東洋硬化
http://www.toyokoka.com

OEM/NOS Parts : NW Vintage Cycle
http://www.nwvcp.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XS-1B

 

僕にとって、世界で一番美しいと思うオートバイ。

ずっとXSに乗りたかった。
大学生の時、限定解除して、真っ先に手に入れようと思ったバイクが、緑のXS-1。
大学近くのヤマハの販売店に置いてあって、半ば買いかけたのだが、
行きつけのバイク店のオヤジへの義理から断念した。

卒後、生家に帰ってから、隣町のスクラップ屋でコイツを見つけた。
十分にまだ走れる車両なので、フッカケられたが、これが最後のチャンスと思って購入した。

登録して1年ほどのちょい乗りを繰り返した。
エンジンは一度開けられているみたいで好調だったが、シャーシはいまひとつだった。
いつかは完全レストアをと思いつつ十余年が過ぎた。

2009年、半年を費やして、XS650Eと共に、ついにレストア完了。
惜しむべきはクロームメッキの質だが、「袋井のやつよりよくできてる」と自分では思っている。

 

XS−1B

 

 

 

XS-1B

 

 

XS-1B

 

 

リア回り